武生といえば「ずし」

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 ずし(辻子)とは、武生で古くから街中の細道のことを指します。私が小さい頃住んでいた福岡の町でも、ごく希にそのような道がありましたが、単に細道と読んでいたような気がします。たぶん、呼び習わした名前が伝わってこなかったんでしょうね。なお、関西には今でも辻子という地名は多く残るようです。

 武生にはいくつかそのような辻子(ずし)がありまして、今回紹介するのは「喜斎が辻子(きさいがずし)」です。馬場通にある、うどんすきの「山むろ」の左の小さな筋が「喜斎が辻子(きさいがずし)」。江戸時代には仏師が多くすんだということですから、零細な手工業者の住む長屋のようなものが並んでいたのでしょう、今でもその雰囲気があります。

 そこをずっと入っていくと、このようなちょっとした公園のような空き地があります。これが「越前出目屋敷(跡)」なのです。越前出目と聞いてすぐにピンと来る人はほとんどいないでしょう。私も武生に来てはじめて知りました。でも、謡曲を趣味にする方で、能面にも造詣が深ければ、かならず耳にする有名な能面打ちのことなのです。

 公園にある市の教育委員会による解説の看板です。2005年10月に越前市となったので、それを機会に建替えたのでしょう、真新しい看板でした。この場所はほぼ江戸時代のままらしく、高名な能面打ちの後継者の屋敷といっても名ばかり、小さな家だったようです。ここに書いてあるように、初代は出目満照といい、このあたりに住んでいたと思われます。三代目まで府中(武生)に住んでいました。なぜかこの看板にはその後のことが書いてありませんが、四代目からは江戸に住んで、幕府の筆頭面打ちの家系として明治まで続いています。
 武生の出目屋敷には満照の後継者と言われる喜斎が住んでいたため、辻子の名前に残っているのです。


 公園の奥には、石碑「越前出目史蹟」があります。写真では読めないでしょうから、少し紹介します。
「わが国の舞曲に使用される能面は、既に五百数十年の歴史を経た日本独特の芸術品である。往時朝倉の家臣千秋伊予守頼吉の子二郎左衛門満照は伯父の僧三光坊を師として面打ちの技を取得し、ついに名人の域に達し、越前出目の始祖となりこの地に住した。・・・・・」


 そのまま馬場通とは反対側の南小路のほうに抜けることができます。そこには、知る人ぞ知る「満照豆」の森田屋があります。武生の町を見慣れてしまえば大丈夫ですが、普通の感覚ではとても営業中のお店とは見えず、通り過ぎてしまいそうなたたずまいです。帰郷するときなどには、ここで私は「満照豆」を購入しますが、必ずおまけを呉れるのはとても嬉しいです。

 私の家内は、初めてここでお土産を私と一緒に買ったとき、店の雰囲気と、包装のあまりの素朴さに怖気づいてほんの2、3個だけしか買いませんでした。でも、歩きながらおまけに貰った「満照豆」をつまんで食べた途端に気に入ってしまって、すぐに引き返して5、6個も追加購入してしまいました。お店のご主人も「おまけが効果満点でしたな」とご満悦のご様子でした。

 このお店は実質的には工場と倉庫なのでしょう、店売りもありますが、現地に行けない方は楽天の通販があります。
満照豆(箱入)

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